自分軸メソッド

自分軸を理解し、多様な価値観を持つ他者と協働するための実践メソッド

Tags: 自分軸, 協働, チームワーク, 人間関係, 多様性

はじめに

キャリアを積むにつれて、私たちは様々な他者と関わりながら仕事を進める機会が増えてまいります。チームでのプロジェクト、部門間の連携、あるいは顧客との折衝など、協働は多くのビジネスシーンで不可欠な要素です。その一方で、「外部に流されない確固たる自分」を築こうとする過程で、チームの期待と自身の価値観との間で葛藤を感じたり、他者の意見に影響されすぎて自分を見失いそうになったりすることもあるかもしれません。

自分軸は、単に個人的な内面の羅針盤に留まるものではありません。自分自身の核となる価値観や強みを理解することは、他者との建設的な関係を築き、多様な意見が飛び交う環境の中で、自身の役割を明確にし、チーム全体の目標達成に貢献するためにも非常に重要となります。本記事では、自分軸を理解し、それを他者との協働にどのように活かしていくかについて、実践的なメソッドをご紹介いたします。

なぜ、協働において自分軸の理解が重要なのか

私たちはそれぞれ異なる背景、価値観、強み、そして働き方を持っています。多様な人々が集まるチームでは、意見の衝突やコミュニケーションの齟齬が生じることも少なくありません。このような状況で自分軸が不明確だと、以下のような課題に直面しやすくなります。

自分軸を理解することは、これらの課題を乗り越えるための土台となります。自身の価値観を明確にすることで、何に同意し、何に同意できないのか、どのような貢献ができるのかを自分で判断できるようになります。また、自身の「普通」が他者の「普通」とは異なることを理解することで、他者の多様な価値観や考え方を受け入れやすくなり、より建設的な協働が可能となります。

自分軸を理解し、他者と協働するための実践メソッド

ステップ1:自身の「自分軸」を言語化する内省

まずは、協働の土台となる自身の自分軸を深く理解することから始めます。これまでのキャリアや経験を振り返り、以下のような問いについて内省し、言葉にしてみましょう。

これらの問いへの答えを紙に書き出す、ボイスレコーダーに吹き込むなどして言語化します。このプロセスを通じて、自身の内なる声や行動原理がより明確になります。

ステップ2:他者の「自分軸」に耳を傾け、理解する

次に、協働する他者にも多様な自分軸があることを理解します。これは、単に相手の意見を聞くということだけでなく、相手の価値観や背景、強み、考え方そのものを理解しようと努めることです。

他者の自分軸を理解しようと努めることは、相手への敬意を示すことにも繋がり、信頼関係の構築にも寄与します。

ステップ3:違いを認識し、多様性を受け入れる視点を持つ

自身の自分軸と他者の自分軸を理解する中で、違いがあることに気づくはずです。重要なのは、この違いを否定するのではなく、自然なものとして受け入れ、多様性として尊重する視点を持つことです。

多様性を受け入れることは、チームの創造性や問題解決能力を高めることにも繋がります。

ステップ4:自身の自分軸を活かし、他者の強みを引き出す連携

自身の自分軸を理解し、他者の多様性を受け入れたら、いよいよそれを協働に活かします。

自分軸を明確に伝えることは、周囲からの理解を得やすくなり、孤立を防ぐことにも繋がります。

ステップ5:価値観の衝突に建設的に対処する

どんなに相互理解に努めても、価値観の衝突が起こる可能性はあります。重要なのは、これを避けたり感情的に反応したりするのではなく、建設的に対処することです。

衝突を通じて互いの理解を深め、関係性を強化することも可能です。

まとめ

外部に流されない確固たる自分軸は、他者との協働においても強力な羅針盤となります。自身の内なる声に耳を傾け、価値観を明確にすることは、多様な意見が飛び交うチームの中で、自身の貢献の方向性を見出し、他者との違いを尊重し、より健全で生産的な関係性を築くための土台となります。

ご紹介したメソッドは、すぐに完璧にできるようになるものではありません。日々の仕事や人間関係の中で、自身の内省と他者への関心を継続的に持ち続けることが重要です。自分軸を大切にしながら他者と協働する実践を積み重ねることで、閉塞感を感じていた状況から一歩踏み出し、表面的な成果だけでなく、人との繋がりの中で深い充足感を見出すことができるでしょう。

確固たる自分軸は、孤立を選ぶことではありません。それは、自分自身を深く理解することで、他者との違いを認識し、尊重し、そして共に目標に向かう力を育むことに繋がるのです。